【紙袋素材】未晒クラフト紙とは?特徴、用途、メリット・デメリットを徹底解説
「未晒クラフト紙(みざらしクラフトし)」という言葉を耳にしたことはありますか?素朴な風合いと環境への優しさで注目を集め、包装紙や紙袋、さまざまなデザインアイテムに使われています。
この記事では、未晒クラフト紙の基礎知識から、メリット・デメリット、具体的な活用事例、さらには印刷や加工のポイントまで、あなたの紙選びのヒントになる情報を詳しく解説します。
未晒クラフト紙とは?その定義と特徴
未晒クラフト紙は、その名の通り「漂白(ひょうはく)工程を経ていない」クラフトパルプから作られた紙です。木材本来の色や風合いがそのまま活かされているのが最大の特徴です。
色と風合いの特徴
未晒クラフト紙の色は、原料となる木材パルプに由来する温かみのある茶色やナチュラルな生成り色をしています。表面もさらっとした素朴な質感が魅力です。
ただし、原料の木材や製造ロットによって色合いに微妙な違い(ブレ)が生じることがあります。この「均一でない」点が、かえって自然でユニークな味わいとなり、多くのデザイナーやクリエイターに愛されています。
厚み(連量)と主な用途
未晒クラフト紙には様々な厚みがあり、**「g/m²(グラム/平方メートル)」**という単位で表されます。厚みによって適した用途が異なります。
- 薄手(例:50〜75g/m²): 軽量で柔軟性があるため、包装紙や緩衝材、冊子の本文用紙などに向いています。
- 中厚手(例:80〜120g/m²): ある程度の強度と扱いやすさを両立しており、紙袋、封筒、ノートの表紙、パンフレットなど、幅広い用途で使われます。
- 厚手(例:150g/m²以上): しっかりとした厚みとハリがあり、名刺、ショップカード、パッケージ、本の表紙など、高級感や耐久性が求められる用途に適しています。
製造方法と環境への優しさ
未晒クラフト紙は、主に強度のある針葉樹パルプを原料として製造されます。一般的な白い紙と違い、パルプを白くするための漂白工程を行いません。
これにより、製造過程での化学薬品の使用量や水の消費量を大幅に削減でき、環境負荷が低いという大きなメリットがあります。また、製品によってはFSC認証(森林管理協議会認証)を受けた、環境や社会に配慮した木材を原料としているものもあり、サステナブルな選択肢として注目されています。
晒クラフト紙・半晒クラフト紙との違い
クラフト紙には、未晒の他に「晒(さらし)クラフト紙」と「半晒(はんざらし)クラフト紙」があります。それぞれの違いを知ることで、用途に合った最適な紙を選ぶことができます。
種類 | 漂白 | 色 | 特徴・主な用途 | コスト |
未晒クラフト紙 | しない | 茶色・生成り色 | ナチュラルな風合い、高強度、包装紙、紙袋、名刺など | 比較的安価 |
半晒クラフト紙 | 軽く行う | 明るい茶色 | 未晒と晒の中間。食品包装(耐油紙の原紙)など | 中間 |
晒クラフト紙 | しっかり行う | 白色 | 印刷適性が高い。フルカラーの紙袋、デザイン性の高い包装紙など | 比較的高価 |
未晒クラフト紙のメリット・魅力
環境負荷が低い
最大のメリットは、漂白工程がないため製造時の化学薬品使用量が少なく、環境負荷が低い点です。リサイクルもしやすく、環境意識の高いブランドイメージを表現するのに最適です。
素朴で温かみのある風合い
木材由来の自然な色と質感は、他の紙にはない温かみと高級感を演出します。オーガニック製品やハンドメイド品、ナチュラルテイストのデザインと相性抜群です。
高い強度と耐久性
原料であるクラフトパルプは繊維が長く、非常に丈夫です。漂白によって繊維が傷つくこともないため、破れにくく、重いものを入れる紙袋や商品を保護する包装紙に適しています。
コストパフォーマンスが高い
漂白工程を省ける分、製造コストを抑えられるため、一般的に晒クラフト紙よりも安価に入手できます。品質と価格のバランスが良く、コストを重視する用途にも適しています。
優れた印刷・加工適性
一見、扱いにくそうに見えますが、実は様々な印刷や加工に対応できます。
- 印刷方法: オフセット印刷やシルクスクリーン印刷、インクをぐっと押し込むような活版印刷とも相性が良く、独特の風合いに仕上がります。
- 加工: ロゴなどを際立たせる箔押しや、立体感を出すエンボス(浮き出し)加工も可能です。これらの加工を施すことで、シンプルながらも高級感のあるデザインが実現します。
未晒クラフト紙のデメリットと注意点
色の表現に制限がある
紙自体が茶色なので、淡い色や鮮やかな色の再現は困難です。特に写真やカラフルなイラストをきれいに見せたい場合には不向きです。デザインする際は、黒や白、濃色など、紙の色に影響されにくい色を選ぶのが一般的です。
インクが沈み込みやすい
紙の表面にインクを弾くコーティングが施されていないため、インクが繊維に染み込みやすく(インクが沈む)、若干色がくすんで見えることがあります。また、ベタ面積の広いデザインはムラが出やすい場合もあります。
食品を直接入れる際の注意点
未晒クラフト紙は耐油性や耐水性があるわけではありません。そのため、油分や水分を含む食品を直接入れる場合は注意が必要です。食品用途で使う際は、内側にポリエチレンなどをラミネート加工した製品や、コーティングが施された専用の紙を選ぶようにしましょう。
水濡れと保管環境
水に濡れると強度が低下し、シミの原因になります。また、湿度の高い場所や直射日光の当たる場所での保管は、紙の反りや色あせにつながるため避けてください。
未晒クラフト紙の主な用途と活用事例
その特性を活かし、未晒クラフト紙は様々なシーンで活躍しています。
紙袋
強度とナチュラルな風合いから、紙袋の定番素材として広く使われています。
- アパレルショップ: ブランドロゴをシンプルに印刷するだけで、洗練された印象に。
- オーガニックカフェやベーカリー: テイクアウト用の袋として、お店のコンセプトを表現します。
- 雑貨店: ハンドメイド雑貨や自然素材のアイテムとの相性が抜群です。
- コスメブランド: ナチュラル・オーガニック系のブランドイメージを伝えるのに最適です。
包装紙・封筒
商品の保護はもちろん、そのものの魅力を引き立てます。ギフトラッピングに使えば、温かく心のこもった印象を与えられます。丈夫で中身が透けにくいことから、封筒の素材としても人気です。
名刺・ショップカード・タグ
独特の風合いが、他とは違う個性を演出します。クリエイティブな職種の方や、エシカルな理念を持つ企業の名刺によく使われます。商品のタグに使えば、ブランドの世界観をより豊かに表現できます。
その他の用途
- 飲食店のメニューブック
- ノートや手帳の表紙
- 本のカバー
- フライヤーやポスター
未晒クラフト紙の選び方と入手方法
選び方のポイント
- 用途: 何を作るのか(包装紙、紙袋、名刺など)を明確にする。
- 厚み: 用途に合った強度や質感が得られる厚みを選ぶ。
- 風合い: サンプルを取り寄せるなどして、実際の色味や手触りを確認する。
- 印刷・加工: 行いたい印刷や加工に適した紙かどうかを確認する。
主な入手方法
- 実店舗: 文具店、画材店、包装資材専門店などで、実物を確認しながら購入できます。
- 通販サイト: Amazonや楽天市場、モノタロウ、紙の専門通販サイトなどで、豊富な種類から手軽に購入できます。
- 製紙メーカー・問屋: 大量に購入する場合や、特殊な仕様の紙が必要な場合に適しています。
よくある質問(Q&A)
Q1. 未晒クラフト紙は家庭用プリンターで印刷できますか?
A1. はい、多くの場合可能です。ただし、厚手のものはプリンターの仕様(対応用紙厚)を確認する必要があります。インクジェットプリンターの場合、インクがにじみやすいことがあるため、試し刷りをおすすめします。
Q2. 未晒クラフト紙はリサイクルできますか?
A2. はい、リサイクル可能です。多くの自治体で「雑がみ」や「段ボール」とは別の「茶色い紙」として分別回収の対象となっています。お住まいの自治体のルールに従って適切に分別することで、資源の有効活用に貢献できます。
Q3. 未晒クラフト紙を選ぶ際の最も重要なポイントは何ですか?
A3. 「用途」と「デザインとの相性」です。まず何に使いたいかを明確にし、それに合った厚みを選びます。その上で、未晒クラフト紙のナチュラルな色味が、あなたの作りたいもののデザインやブランドイメージに合っているかを検討することが重要です。

紙袋や不織布に関する豆知識を発信しています。包装資材の取り扱いの他オリジナル印刷も行っている会社です。